2024

何年か後に振り返った時、2024年はサマーソニックにとって大きな転換点であったと確認できるのではないか。ロックからポップ、ヒップホップにダンスアクト、そしてアイドルにと、洋邦問わず、かつてこれほどバラエティに富んだラインナップが実現した年はなかったからだ。初参加の若い観客も目に見えて増加し、サマソニらしさを受け継ぎつつも、新たな活力が注がれた躍動の年だったと言える。
東京初日のヘッドライナーは、そんな新時代の幕開けに相応しい若き才能＝マネスキンが抜擢され、超満員のスタジアムを揺らす圧巻のステージを披露。僅か2年で名実共にトップに上り詰めた彼らのロックンロールに老若男女が興奮する様は、眩しいほどの希望を感じさせてくれた。また、この日のスタジアムにはNumber_iやNCT Dreamsなど、今最も勢いのある日韓のボーイズ・グループも出演。星野源、ライアン・テダー率いるワン・リパブリックと、洋邦ポップの重要アクトが揃い踏みしたスタジアムでもあった。一方のMountain StageではGlayがサマソニ初出演を果たし、大きな話題を呼んだ。今をときめくラッパー、リル・ヨッティがトリを務めたSonic Stageではリーチャーズ、レイヴェイといった2024年のUSオルタナティヴ/ポップ・シーンの重要アクトのステージも大いに盛り上がるなど、サマソニらしい同時代性は健在だった。
あらゆるジャンルのアーティストを網羅した2024年のヘッドライナーが、2日共にロック・バンドであったことも特筆すべきだろう。東京2日目のヘッドライナーは満を持してのブリング・ミー・ザ・ホライズン。サマソニ伝統のラウド・ロックの系譜を受け継ぐ彼らの硬派なステージには、Sonicのトリだったオーロラが飛び入りするなどフェスならではのサプライズも。早い時間からスタジアムを埋めたCreepy Nutsや、Mountain Stageを熱狂させたBE:FIRST、新しい学校のリーダーズなど、活躍の場を世界に広げる日本勢の胎動も目立った。また、タイラ、オリヴィア・ディーン、ニア・アーカイヴスと、2024年にブレイクスルーした女性アーティストをいち早く目撃できた2日目だった。またしても完全ソールドアウトの2024年サマソニは、5年後、10年後へと可能性を広げる契機となったはずだ。

SUMMER SONIC 2024 公式ページはこちら