年を追うごとに加速度的にカオス化が進行し、ますます総体が掴みにくくなっているエレクトロニック・ミュージックの中にあっても、ショーン・ブースとロブ・ブラウンからなるオウテカは、常に革新的な実験主義者であり続けてきた。1992年、〈Warp〉がテクノ・ミュージックの新しいあり方を提示したコンピレーション『Artific ial Intelligence』 への参加で注目を集めて以来 IDM /エレクトロニカを代表するアーティストであり、孤高の存在であり続けている。大きなブランクもなく黙々と作品をリリースし続けている彼らだが、IDM /エレクトロニカがさらなる変容を見せた2010 年代以降にあってなお、その勢いは衰えるどころか増幅しており、2020年には『SIGN』と『PLUS』を立て続けにリリースし、その先鋭的な響きは、さらなる先の未来を切り拓き続けている。