SONIC REVIEW vol.6 『東京のGARDEN STAGE』

今回はサマソニ東京会場の野外ステージのひとつ、キャンピング・エリアに隣接するGARDEN STAGEをピックアップすることにしよう。GARDEN STAGEについては「大人の秘密基地」として昨年のレビュー(http://www.summersonic.com/2016/news/rev12/)でもご紹介したが、サマソニの多数のステージ中にあって独立したムードを確立しているGARDENには、今年さらにバラエティ豊かな魅力を増したラインナップが揃っている。

昨年のGARDENには「ジャズ」という大きなテーマがあったように思うが、今年はもっと多様で、ジャズやファンク、フォークやエクスペリメンタル系まで、いちジャンルでは括りえないアクトが揃い踏みしている。初19日のヘッドライナーを務めるのはアルゼンチンが誇るシンガー・ソングライター、フアナ・モリーナ。5月リリースのニュー・アルバム『ヘイロー』では、音響空間を瞬く間にフアナ色に染め上げるアンビエント・フォークは健在でありながら、過去作と比較するとポップでオープンな仕上がりになっていて、野外のリラックスしたムードにぴったりはまりそう。以前から交流のあるEGO-WRAPPIN’の中納良恵を迎えてのスペシャルなステージとなる。

Paraguaya (official music video)

一方、20日のヘッドライナーはトレヴァー・ホーン率いるトレヴァー・ホーン・バンドがエントリー。バグルスの“ラジオスターの悲劇”、イエスの“Owner Of A Lonley Heart”といった歴史的ヒットチューンを筆頭に、フランキー・ゴース・トゥ・ハリウッドやグレイス・ジョーンズらのプロデュースを手掛け、80年代の音楽シーンの流れ自体を作った男と呼んでも過言ではないスーパー・プロデューサーにしてスーパー・アーティストであるホーンの今回のバンドは、アート・オブ・ノイズではホーンとも活動を共にしていた元10ccのロル・クレームも参加が決定している。今年のサマソニの全レジェンド枠の中でも必見のステージとなるのは間違いない。

Yes – Owner Of A Lonely Heart (Official Music Video)
Trevor Horn & The Producers – Garden Of Flowers (ACM Masterclass)

レジェンドという意味では19日の佐野元春 & THE COYOTE BANDも外せないだろう。また、邦楽勢としてはEGO-WRAPPIN’と在日ファンクという、日本のジャズ・ロックとファンク・シーンを代表するアーティストが両日のベテラン陣の脇をがっつり固めているのも今年のGARDENの強さだ。

「境界線」 – 佐野元春&ザ・コヨーテ・バンド(DaisyMusic Official)
EGO-WRAPPIN’『くちばしにチェリー』
ぽいぽい / 在日ファンク

そして海外からは、要注目の若手、ニューカマーが続々エントリーしている。19日に出演するミスター・ジュークスは、現在活動休止中のボンベイ・バイシクル・クラブのジャック・ステッドマンによるソロ・プロジェクト。プライベートで何度も来日している親日家の彼が、まさに日本から大きなインスピレーションを得て作り上げたデビュー・アルバム『ゴッド・ファースト』ではBBCのブレーンだったジャックらしい、ジャズ、ファンク、R&Bのユニークなミクスチャーが聴ける。彼が日本でジャズ喫茶やレコードショップ等を巡る、下記のドキュメンタリー映像もぜひチェックしてみてほしい。

20日にエントリーしているPONDは、元テーム・インパラのオール・ブルック率いるサイケデリック・バンド。盟友のケヴィン・パーカーがプロデュースした新作『ザ・ウェザー』は、エンパイア・オブ・ザ・サンやテーム・インパラと並びオージー・サイケ・シーンを代表する名盤となった。そのスペイシーでカラフルなぶっ飛びのパフォーマンスは必見。そして昨年の初単独来日も大きな話題を呼んだホイットニーが満を持してサマソニ初出演!彼らの繊細でフォーキーな旋律が、アウトドアでいかに伸びやかに、大らかに響くかに注目だ。

Pond – Sweep Me Off My Feet
Whitney – No Woman (Official Video)

そして最後にご紹介するのは、今最もアツいジャパニーズ・アクトと言っても過言ではないNulbarichだ。アシッド・ジャズやファンクのグルーヴのリラックスした気持ち良さ、そして気持ち良いだけじゃないエッジとフックを憎らしいほど的確にインサートしていく彼らのシティ・ポップは、「ポストSuchmos」と称されている現ステイタスがほんの入り口であると直感させてくれるポテンシャルに満ちたもの。潮風が心地良く吹き抜ける開放的なシチュエーションに、刺激的でディープなアクトが集結した今年のGARDENは、そんなNulbarichに初めて出会う場としてベストなのだ。

Nulbarich – It’s Who We Are (Official Music Video) [Radio Edit]
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