サマソニまであと10日!アンダーワールドスペシャルインタビュー公開!

——ツアーの調子はどうですか。
「どのライヴも反応がとにかく信じられないくらいいい。自分たちがあらゆる世代から再び評価されていると実感する。凄いよ。テレビ中継したライヴとか、グラストンベリーやコーチェラにしても、話題は尽きない。凄く順調だ」

——グラストベリーのライヴ映像は少し見ましたが素晴らしかったですね。
「そうそう。ただ、映像にはないんだけど、あの後、帰る途中僕らを乗せたバスが泥濘にハマって立ち往生してしまい、二人とも両足をゴミ袋に包んでバスを降りて、ミニバンで迎えに来てもらうはめになったんだ。あの華々しいライヴの後、まさかゴミ袋を足に包んで帰ることになるとはね。でもライヴ自体は驚異的な盛り上がりだったよ」

——素晴らしい新作『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』はあなたたちが「アンダーワールド」を再構築したアルバムと言うか、本作があなたたちの確信と喜び、そして誇りを感じさせる非常にポジティヴなアルバムになったのは何故なんでしょうか。
「その前まで長い間別々に創作活動をしていたというのが大きかったと思う。また二人でやろうとなったのが、ちょうどお互いの存在の大きさに気づいた頃で、また二人でやれることがお互いこの上ない喜びを感じた。それがそのまま音楽に反映しているんだと思う」

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——前作『バーキング』と『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』の間の6年間に、あなたたちの中で転機や変化が生じるきっかけがあったんですか?あったとしたらそれは?
「あったよ。一言で言うならば、『ダブノーベスウィズマイヘッドマン』の再現ツアーだ。イギリスとヨーロッパだけの短いツアーだったけど、あれが、二人でまた一緒に音楽を作るに至るまでのトライアルのような機会だった。二人でまたやってみて、お互いどう感じるか、試す機会だった。と同時に、今のアンダーワールドの創世記のあの魔法のような時代を改めて振り返る機会でもあった。二人でやることがいかに特別なことかを思い出させてくれた。僕たちは性格的にも全く違うけど、一緒になった時、何か特別なものが生まれる。それにいつも驚かされるし、それが僕ら二人ともたまらなく好きなんだ。それが、また二人で音楽を作る後押しとなった」

——その2014年の『ダブノーベスウィズマイヘッドマン』20周年記念盤と再現ツアーは、アンダーワールドの原点を再考する機会だったんじゃないかと思うんですが、あなたは自分たちのその原点にあったどんなエネルギーやアティチュードを再発見し、インスパイアされたんでしょう?
「面白いもので、過去を振り返る時はとかくいいように解釈してしまうものだけど、あの時期は正直全てがバラ色だったわけでは決してないんだ。当時と比べたら今の方がよほど二人の結束は固いくらいだ。ただ、それでも、当時二人でスタジオに入って、即興を重ねたちょっとした瞬間を二人とも今でも覚えている。その記憶だけを、当時あった他のいざこざや問題と切り離して考えてみれば、ロマンに満ちた青写真であり、僕たちの目指すべき方向だと感じた。お互いが出す音だけに刺激されながら即興で二人だけで音楽を作る、という。その理想を描いた発想が次第に、刺激に満ちた実践的な作業となり、『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』の青写真となったんだ」

——『バーキング』と本作を比較して、ソングライティング、レコーディングの指針やプロセスにおいて最大の変化はなんでしたか?
「 『バーキング』と比較すると、『バーキング』の大半は、個別で作った音をファイル交換し、そのファイルをまた外部のプロデューサーやソングライターに渡し、共作して出来た作品だった。ある意味、僕とリックが最も離れて作業をしたアンダーワールド作品とも言える。それに対して、今作は、初めから、全て二人が同じ空間にいて共同で曲を作ると決めて臨んだ。当然、最後の仕上げに関しては、リックが一人でミキシングを行ったわけだけど、それ以外は、全て二人で一緒に作った。そしてそれがこのバンドの強みだということも知った。お互いの持ち味、お互いの違いを引き出すことこそが自分たちの強みなのだと。この作品の前にやったソロ作品や他の人とのコラボレーションを通じて気づかされたのもそれだった。僕とリックは持ち味が全く違うんだけど、それを組み合わせた時にこそ特別なものが生まれ、それが自分を満たしてくれてたのだと」

——『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』はアンダーワールドがアンダーワールドを再発見したアルバムにも聞こえますし、同時にアンダーワールドがアンダーワールドから自由になったアルバムにも聞こえるというユニークな一枚です。あなた自身の感触としてはどちらがより本作の本質に近いと言えますか?
「どちらも重要なポイントだと思う。僕自身、『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』の制作に臨む際、自分だけに向けた内緒の覚書として、「アンダーワールドのことは忘れて、リック・スミスだけを意識する」というのがあった。アンダーワールドがどうだったか、アンダーワールドをどうしたいか、アンダーワールドが何なのかといったことは一切考えず、パートナーであるリックのことだけを念頭に、自分なりのアイディアを場に出すことだけに集中しようと決めた。それと同じくらい、二人で共同作業することで予想もしなかった結果が生まれることの喜びや楽しさも再発見した。だから、その二つの側面が僕自身にとっては今回すごく重要な点だった。ただ、リックは全くそんなことは考えていなかったことは事実として知っているよ。彼はむしろ「いついつまでのこの作業を終えなければいけない」といった僕よりもずっと実務的なことを考えながら臨んでいた。彼の覚書は、二人が少なくとも週に2回はスタジオで一緒に作業することで、スタジオに入った際は毎回必ず新しい曲を書く、というものだった。そうやって数ヶ月間、ひたすらスタジオに一緒に入っては、新しい曲を毎回作った。一度できたものに手を加えることなく。で、ある時、彼の中のアラームが鳴って「よし、そろそろ作品として仕上げに掛かる段階だ」って。彼の方がよほど実務的なアプローチをする。僕の方はロマンチストだ。まあ、だからこそ上手くいくのだろうね」

——ここ数年のEDMの爆発的ブームは継続していて、EDMのスターDJたちがダンス・ミュージック・シーンやフェスティバルを牽引している状況ですよね。今年のサマーソニックにもアレッソが登場しますし。そんな現在のダンス、エレクトロ・ミュージックをあなたたちはどのように捉え、評価していますか。
「今のダンス・シーンは何年も前のダンス・シーンの進化形であり、ダンス・シーンの歴史の素晴らしさは常に進化し続けているところなんだ。だから、現在のダンス・ミュージックについて語ることが難しいのは、それは単に今のつかの間のものについて語っているだけであって、今週出てきたものも、先週のものから進化しているくらい、常時進化し続けているからなんだ。僕が常に言っていることは、ダンス・シーンで何か爆発的なブームが起きている時といのは、必ず、その反動でアンダーグラウンドのシーンで何か新しいムーヴメントが起きている。だから僕にとってダンス・ミュージックというのは変化であり、変化し続けることであり、新しいサウンドへの飽くなき追求であり、新しい解釈、さらには「踊ること」また「お祭り」という発想の新しい形を探求するものなんだ。EDMもテクノ、トランス、ハウス、ディスコからずっと続く進化形の一つなんだ。それが、今でも広く支持され、新しく進化し続けているのは素晴らしいことだと思っている」

——ご自身も今年は多くのフェスにも出演し、自分たちが再評価されていると実感されたということですが、それは今のEDM人気にも要因があると思いますか。
「EDMは今幅広いオーディエンスに人気がある。その人たちが、EDMをきっかけに他のエレクトロニック・ミュージック、或いはEDMに繋がるダンス・ミュージックの歴史に興味を持って、僕たちを知ったという人もいるだろう。それとは別に、ニール・ヤングの理論で、自分たちのサウンドを貫いていれば、時代の波がまた自分たちの方を向く。その繰り返しだ。そうやって何年か置きに自分たちが再評価される、という。でも、まあ、いい作品を出すという絶対条件があるわけだけどね(笑)今回は、シーンの中で僕たちのサウンドに対する再評価と、みんなの心に響くアルバムを作ったことがうまく重なったんだろう」

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——8月にはいよいよサマーソニックへの初出演にしてヘッドライナーという待望のステージが控えています。本当に楽しみなんですが、どんなステージを見せてくれますか?
「ハハハハハ(笑)よく聞かれるんだよね。とって置きのサプライズ演出も考えている。ライヴの照明、映像スタッフとも話し合って、こういうメジャーなフェスでのヘッドライナーの時は、何か特別なことをやらなきゃいけないと思っている。当然サマーソニックでも特別なことをやろうとしばらく前から準備している。みんなに楽しんでもらえるようにね。もちろん、『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』からの曲と、これまでの代表曲を組み合わせたセットリストになるだろう。そこに、音、照明、映像、全てが生の即興で繰り広げられるアンダーワールドのライヴならではの興奮とエネルギーが味わえる。僕たちのライヴ動画をYoutubeなどの動画サイトで見たことがある人たちは、全てが事前にプログラミングされていると思っている人もいるだろう。でも、僕たちはこれまでもずっと、その場のお客さんの反応を見ながら、即興で全てやってきた。だから、毎回違うライヴになる。どのライヴも映像で記録しているんだけど、あとで見直すと、どれも違う印象なんだけど、一貫して言えるのは、どれも興奮と途絶えることのないエネルギーに満ちている。それがどこから生まれるのかは、自分でも今だにわからない。いや、わかっている。音楽と観客のエネルギーの融合から生まれる。数日前にチェコでライヴがあったんだけど、何万人のファンが僕たちのライヴを見に集まってくれたんだ。そのライヴの途中で、「自分のこのエネルギーはどこから来るんだ?」とふと思ったんだ。午前2時を回っていて、「本当なら寝なきゃいけない時間なのに、全く疲れを感じないどころか、エネルギーが湧き出てくる。なぜだろう?」ってね。そこで観客の方を見てみると、彼らから喜びの波が押し寄せてくるのがわかるんだ。そこに起因しているんだって実感したよ」

——『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』のモードは今のアンダーワールドのパフォーマンスにどのように作用し、また過去の曲にどのような影響を与えると思いますか。
「新作の曲は、以前の曲とうまく溶け込んでいる。自分でも驚いているくらいさ。今年の頭にBBC 6 Music用にやったコンサートで初めて新曲をライヴでやった際、他の曲との違和感のなさに驚いた。過去には、新譜からの曲がどうしても浮いてしまっていると感じることもあった。今作の曲は、『ダブノーベース』や『
セカンド・タフェスト』の頃と、最近の作品の間を繋ぐ橋渡しのように感じる。古い曲を演奏する時は、それがどんなにいい曲であっても、次第に飽きが来てしまうもので、熱意が薄れてしまい、連鎖反応が起きてしまう。そこに新曲を持ち込むことで、古い曲に新しい解釈を生む熱意や想像力が掻き立てられ、それらの曲に新しい息を吹き込んでくれる。今作はまさにそういう効果をもたらしくれたと思う。新作の目を通して古い曲を見直す、という。そうやって、リックが古い曲を『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』の世界感の一部かのように感じられるよう、アレンジし直している」

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