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NATTY

 イギリス(ロンドン)というと、常にどんよりした天気が続くメランコリックで肌寒い雰囲気というイメージを持っている人が多いと思うが、個人的には日本(東京)よりも過ごしやすい環境ではないか?と思っている。確かにグレイな空に囲まれることも多いのだが、日本のようなジメ~ッとした空気がなく、特に夏場の心地よさといったら!22時過ぎまで日没が訪れず、カラッと晴れた日には公園などに行って思う存分のんびりできるのである(しかし今年の夏は異常気象で、熱射病になりそうなくらい暑い日が続いていたが…)。そんな心地よいロンドンの夏の空気を感じさせるのが、ナッティの音楽なのである。
 ロンドンのカムデンを拠点に活動する彼。学校卒業後はスタジオ・エンジニアとして働き、その傍らでミュージシャンとして活動し、今年1月にアルバム『マン・ライク・アイ』でデビューを果たした、現在25歳だ。ボブ・マーリーの名盤『ナッティ・ドレッド』から名付けられたというアーティスト名からおわかりかと思うが、サウンドはルーツ・レゲエをベースにしたアコースティック・サウンド。そこにロックやヒップホップなどの感覚を交え、実にピースフルでエネルギッシュなリズムを刻んでいる。たいていUK発の音楽というと、どこかダークさが漂うサウンドというイメージが強いが、彼の作品にはそういった要素が見当たらないのが、新鮮だ。
 だからといって、彼の音楽は決して能天気な訳ではない。南アフリカと国境を接する小国・レソト出身の母親と、イタリア系の父親の間に生まれた彼。歌詞では、その境遇のなかで感じた人種差別など、社会がはらむ問題を鋭くかつインテリジェンスに表現していて、胸に突き刺さるものがある。でも、そういったシリアスなトピックも、最後にはポジティブなパワーに変えてしまえるマジックが、彼の音楽には潜んでいるのだ。
 すでに昨年末、そして5月におこなわれた「グリーンルーム・フェスティバル」に登場し、日本でも着実に名前が浸透しているナッティ。そこで体感した人ならおわかりだと思うが、そのライヴ・パフォーマンスはピースフルかつエキサイティングなヴァイブスにあふれている。特に魅力的なのが、ナッティの巧みなギター・プレイと、それにのる軽快なフロウ。体感すると、彼の音楽に対する真摯な思いが伝わると同時に、一瞬にしてナッティ・ワールド=開放的な夏の空気が、目の前に迫ってくるのだ。ビールを片手に観ようものなら、もう最強!人生どーにでもなっちゃうって、気分になっていくのだ。あぁ1日でも早くナッティ・サウンドを体感してみたい!この蒸し暑い日常からエスケイプしたい!もし、会場ではしゃいでいるオッサンを見つけたら、それは確実に筆者だと思っていただいて間違いないだろう……。そっと温かい目で見守ってください。

(松永 尚久)