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THE ALL-AMERICAN REJECTS

 ようやくリリースされた目下の最新アルバム『ホエン・ザ・ワールド・カムズ・ダウン』の発売日――今年の3月4日に実現した緊急来日公演は、オール・アメリカン・リジェクツというバンドの変化を印象づけるものだった。
 いや、変化と言ってしまうと、なんだか彼らが違うバンドになってしまったんじゃないかと思われるかもしれない。もちろん、彼らは全然、違うバンドになってしまったわけではない。
 オール・アメリカン・リジェクツはいまだオール・アメリカン・リジェクツだ。音楽性や、その魅力は何も変ってはいなかった――その事実を踏まえ、言葉を改めれば、そのライヴはオール・アメリカン・リジェクツの成長を印象づけるものだった。

 ポップなエモ・バンドからモダンなロック・バンドへ。

 それをアピールするように彼らはバンドが注目されるきっかけになった「スイング、スイング」を、いきなりオープニングに披露した。
 お、この曲を1曲目にやるか?!と、ちょっと驚かされた。
 その後も新旧のレパートリーを織り交ぜながら、以前よりもロック・バンド然とした佇まいをアピール。中でも大半の曲でサポート・メンバーにベースを任せることで、まるでピン・ヴォーカルのフロントマンに生まれ変わったようなタイソン・リッターの姿が印象的だった。
 そう言えば、その時、タイソンが着ていた乳首が透けて見えるメッシュのシャツもすごかったね。

 ロック・シンガー、タイソン・リッター誕生?!

 思えば、オール・アメリカン・リジェクツはパンク/エモ・シーンの出身ながら、最初からボン・ジョヴィやAC/DCからの影響とともにアリーナ・ロック志向やロック・スター願望を隠さずに口にしてきたバンドだった。
 彼らが思い描いていたロック・スター像は古いタイプのものだったかもしれない。

 しかし、彼らのようなバンドがあのタイミングで、それを口にすることが新しかった。

 その是非はあるにせよ、アリーナ志向/ロック・スター願望を持ったオール・アメリカン・リジェクツと、現代のパンク/エモ・シーンにR&B/ヒップホップの影響を持ち込んだフォール・アウト・ボーイがブレイクしたことをきっかけにパンク/エモ・シーンは新たな局面を迎え、それが現代のモダン・ロック(って言葉としてはおかしいんだけど)の流れの源流になった――。

 ポップな印象が強いせいか、どうもナメられているようなところがなきにしもあらずだが、オール・アメリカン・リジェクツは現代のロック・シーンにおいて最も重要なバンドの1つである。少なくとも僕はそう考えている。

 そんな彼らがついにその本領を発揮しはじめた。

 3月の来日公演を見終わったときに実感したそんな思いは、そのライヴの途中、タイソンがややフライング気味に出演決定を発表した今回のサマソニで、より確かなものになるはずだ。
 ハリウッド・アンデッド、マストドン、プラシーボ、リンキン・パークとラウド勢が顔を揃えた8日のマリン・ステージにオール・アメリカン・リジェクツは爽やかな風を吹き込むにちがいない。
 3月の来日公演を見逃したファンは、この機会にぜひ!

(山口 智男)