• ラインナップ | 東京
  • ラインナップ | 大阪
  • Writers' Recommendations!!
TIMETABLE

Writers' Recommendations!!

CAVALERA CONSPIRACY

 津軽三味線なら吉田兄弟だが、ブラジル生まれの轟音ならカヴァレラ兄弟である。SEPULTURAの創始者にあたるこの兄弟の間に確執が生じ、マックスとイゴールの2人が異なる道を歩むようになったのは、もはや遠い過去のこと。実に12年ぶりという画期的和解を経て制作され、2008年3月にリリースされたCAVALERA CONSPIRACY名義での作品、『INFLIKTED』が極度に刺激的な作品だったことは記憶に新しい。その後マックスは、SOULFLYという現在の“家”に戻って同年夏に『CONQUER』を発表し、現在はそれに続く新作が完成に近付きつつあるという話も。かたや自身が父親になったことを機にSEPULTURAでのライヴ活動から離れていたイゴールは、そのまま同バンドを脱退。なにやら少々複雑で、あれこれ勘繰りたくなるような事態になっている。

 CAVALERA CONSPIRACYを直訳すれば“カヴァレラの共謀”ということになるが、もっと日常的な言い方をすればこれは“仲直り”であり、過去に続いていた短くない“確執”も、いわば長期的な“兄弟喧嘩”のようなものと言っていいのだろう。実際、筆者は何度か2人の些細な喧嘩を目撃したことがある。当然ながら両者がSEPULTURAに籍を置き、ともにまだ少年くささが抜けきっていなかった頃の話だ。たとえばあるときは、楽屋でマックスが蹴ったサッカーボールが電球を直撃して割れてしまい、イゴールが激怒。「兄ちゃん!」と憤る彼に向かって「なんか文句あんのかよ」的な態度のマックス。筆者はその場でオロオロするしかなかったが、その程度のことは日常茶飯事だったらしく、まわりのみんなは笑っていた記憶がある。

 また、ある取材の際にイゴールに雑誌を手渡すと、彼はその表紙に自分の名前をマジックでデカデカと明記。「こうしておかないと絶対、誰かが持って行っちゃうんだ」と笑う彼の発言に含まれていた“彼”とは、言うまでもなくマックスのことだった。後日、僕はマックスに非売品のスウェットシャツをプレゼントされ、その場では素直に喜んで受け取ったのだが、あとで帰宅後によくよく見てみると、裏のラベルのところにはマジックで“IGOR”と書かれてあった。マックスにとっては「おまえのものは俺のもの、俺のものは当然俺のもの」なのかもしれない。とりあえずそのスウェットは、今もまだ僕の所有物であり続けているのだが。

 しかし、CAVALERA CONSPIRACYはマックスのものでもイゴールのものでもなく、彼ら2人が共有するもの。彼らの共謀自体を存在意義とするものだ。そのステージでは、当然ながら『INFLIKTED』からの楽曲のみならず、SEPULTURAの名曲たちも披露されることになるはずだ。アルバムでも自分たちがスラッシュ小僧だった時代のルーツを確かめるかのようにPOSSESSEDのカヴァー(日本盤ボーナス・トラック)をやっていたりしただけに、その手のレアなカヴァーが飛び出す可能性もある。毎年、ビールの呑みすぎとアタマの振りすぎには注意を心掛けている僕ではあるが、少なくとも彼らの演奏中は、そんなことは都合良く忘れているに違いない。が、とりあえず2人がステージ上で兄弟喧嘩することだけはないよう願いたい。なんだったらあのときのスウェット、お返ししますんで。

(増田 勇一)