• ラインナップ | 東京
  • ラインナップ | 大阪
  • Writers' Recommendations!!
TIMETABLE

Writers' Recommendations!!

MASTODON

百科事典を調べればマストドンは古代の生物とされ、何千年も昔に絶滅したものとして記述されていることだろう。が、アメリカはジョージア州アトランタを本拠地とするMASTODONは、まさに現在、過去最高に活発な状態にある。

プログレッシヴ・メタル。彼らの音楽は、しばしばそんな形容をされることがある。実際、全米アルバム・チャートで初登場11位を記録した最新作、『CRACK THE SKYE』は、コンセプチュアルな作風といい組曲的な楽曲のあり方といい、まさにそうした形容が似つかわしいアルバムといえる。で、そんなたたずまいをした作品について語ろうとすると、なんだか妙に肩に力が入ってしまい、普段あまり使わないような言葉を羅列してみたくなる。これって知的なものへの憧れを隠せない、ある種のコンプレックスに起因しているのかも。

フル・アルバムとしては通算第4作にあたる『CRACK THE SKYE』は、ヘヴィ・ロック愛好者たちの間ではすでに“2009年度最重要作品”のひとつとして認識されているはずだが、それ以外の人たちにも是非、手に取ってみてほしい逸品だ。確かに最初は、そのいかめしい存在感や技巧的な演奏ぶりに顔をしかめてしまうことになるかもしれない。が、この作品の価値は、間違ってもその難解さにあるわけではない。そう、ここに詰め込まれているのは計算式上に成立しているような難解で複雑怪奇な音楽ではなく、“一筋縄ではいかない人たちによる、あくまで本能的な音楽”なのだ。で、それに気付かされた頃にはきっと、あなたもすでにこの作品のエンドレスな罠にとらわれていることだろう。

ぶっちゃけ、あまりフェス向きなバンドとは解釈し難い部分も持ち合わせているMASTODONではある。が、『LOUD PARK 06』での熱演は記憶に新しいところだし、過去、このバンドが幾度となく各国の巨大フェスで“それまで縁のなかった聴衆”を振り向かせてきたのもまた事実。好天に恵まれれば今回の『サマーソニック』では炎天下での演奏ということになるが、前々作の『LEVIATHAN』で“海”、前作の『BLOOD MOUNTAIN』では“地”をテーマに据えてきた彼らが今作で主題にしているのは、他でもない“空”。真夏の空の下、それこそ僕らは“空が割れる”ような衝撃を味わうことになるのかもしれない。

『サマーソニック』に至るまでのMASTODONのスケジュールは、ライヴに次ぐライヴで塗り潰されている。METALLICAの欧州ツアーにスペシャル・ゲストとして同行しているのみならず、大型フェスへの参戦や単独公演も密度濃く組まれており、日本上陸を果たす頃には、彼ら自身も『CRACK THE SKYE』の世界観を完全に消化しきった状態にあるに違いない。それを考えれば当然ながら期待したくなるのは、このアルバムの完全再現ということになるわけだが、果たして真夏の野外でそれが実現する可能性はあるのか? それとも日本のオーディエンスは“空”と“海”と“地”とを同時に味わうことになるのか? せいぜい期待と想像を膨らませていようではないか。それがネガティヴなカタチで裏切られることは絶対にないはずだから。

(増田 勇一)