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THE TEMPER TRAP

 オーストラリアというのは恐るべき場所である。AC/DCやニック・ケイヴあたりのヒストリーから解き明かさずとも、たとえば21世紀に入ってからも、ロックンロール・リヴァイバルの牽引役を果たしたザ・ヴァインズやジェットらあれやこれやがいるし、日本盤こそ出ていないけど、The Greatsという笑顔とキュートさがそのまま破壊力になっている凄まじいガールズ・バンド(男子も一人いる)なんかは、個人的に「こんなのどこの国にもいねえや」とため息の出る存在。
 去年、今年とビッグ・デイ・アウト(オーストラリア巡回型フェス)に行かせてもらってるんですが、海外では知られていない地元バンドたちが結構面白いです。

 つまり、なんというか、横並びしないんですよねオーストラリアって。突然変異のようにポッと、目を見張る音楽があちらこちらでピョコピョコ生まれている。
 そんな中で、次なる台風の目になることが確実視されているのが、このテンパー・トラップ。メルボルンで05年に結成し06年にEPでデビューを果たしていたのだけれど、今年1月のBBC『SOUND OF 2009』のノミネートに入るまでは(上位10位からはおしくも漏れたが)、たぶん、地元の人のみが知っているバンドだったに違いない。
 
 とはいえふたを開けてみるとこの4人、とにかく音楽シーンで働く根っからのマニアたちからの支持が既にハンパなし。UKではわざわざ名門インフェクシャス・レコードを復活させそこの新・第一弾アーティストとしてのリリースになるし、日本でもCS音楽チャンネルで軒並みパワープレイを獲得済み。まだ海のものとも山のものとも分からない段階で、音楽好きを、問答無用で好きにさせ応援させる何かがあるバンド--そう言うのは実際、ビッグになっていく場合が多い。たとえばデビュー当時のオアシス。コールドプレイ。ミューズ。アークティック・モンキーズだってそうだったし、フリート・フォクシーズもそうだ。

 このメルボルンの4人組の場合、あまり今の段階で解説しすぎるのはヤボかもしれないなあ。秋にリリースされている予定のジム・アビスがプロデュースしたデビュー作に先駆けて、せっかくサマーソニックで見れるチャンスがあるから、ぜひその目で確認していただきたい。
 で、ヤボを承知で言わせていただくと、とにかくメロディー作りが上手いし、好きにならずにいられないハツラツとした演奏などから、この4人が音楽を本当に、心から楽しんでやっていることがわかる。それが聴いててわかった瞬間、こっちの汚れた心までサッと洗われる気分にすらなる。そういうバンドは貴重だからこそ、応援したくなるという作用が働くわけだ。

 さあ、ヤボはここまで。伝説が作られるかもしれない瞬間を、見逃さないようにね。

(妹沢 奈美)