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LITTLE BOOTS

 女の子という生きものが、私は大好きだったりする。なにしろ女の子というのは、実は「努力」の生きものだ。きれいなお肌も可愛いしぐさだって、類まれなるクレバーさや隠しおおせぬ知性も、もちろん全て、ひとかたならぬ努力から生まれている。それは男性の目にどう映るかという問題ではなく、そもそも自分の納得のいく自分を磨きあげて作ること自体が、女の子は好きなのだ。そして、努力する女の子は例外なく、本当に素敵!

 個人的に、そんな素敵な女の子ちゃんがさらに知性が高ければ、もはや悶えんばかりに惚れこんでしまう。リトル・ブーツことヴィクトリア・ヘスケスちゃんへの私の偏愛は、たぶん、彼女の音楽そのものや生きざまや、あの愛らしいお洋服やヘアスタイルや、そんな全てに彼女の「知性」が反映されているから。しかも、これみよがしにではなく、爽やかにひそやかに知性をにじみ出させるという、その奥ゆかしさも本当にたまらない。

 耳の早いサマーソニック・マニアの方たちならご存じだろうけれど、リルブーちゃんこそ、今年の年頭にBBCで発表した有望新人番付「SOUND OF 2009」の第一位。それも、さもありなんです。なにしろ、日本が誇るヤマハのテノリオンをライヴなどで使うミュージシャンは増えたけれど、テノリオンをプログラミングなどで使いこなして曲を作ってしまったミュージシャンは、たぶんリルブーちゃんが初。もしくは、「初めて」に最も近い場所にいる。しかも、リルブーちゃんに取材で聞いたところ、テノリオンに興味を持った理由が「ヴィジュアルが素敵だったから」。もともとシンセ・マニアだったとはいえ、それを持って歌う自分の姿というのを実現させたかったからこそ、複雑なプログラミングなどをちゃんとマスターしてしまうってのは、生半可な努力ではできないことだと思う。

 リルブーちゃんは、はっきりと断言する。自分のお洋服もヘアスタイルも、すべて音楽をさらにいい形で総合的に響かせる、重要な要素だと。それは、強烈な音楽欲に寄り添うためのあくまでツール。それでいて、80sのノリと切なさを併せ持ったメロディー・ラインと、それを歌う自分自身にきちんとマッチする、一ミリの隙もないヴィジュアルを選択できるセンスは、やはり知性のたまものだろう。デッド・ディスコ時代のゴスメイクも、そう考えると、すべてがちゃんと繋がっている。

 大学では、音楽理論ではなく音楽にまつわる「哲学」を学びたいと文化研究のコースを選んだリルブーちゃん。彼女のポップに対する意識は、ゆえに論理的にきちんと構築されている。ブラックプール出身なのも、ポップへの探究心に関係あるの? と今年のブリット・アウォードでの感動的なクリス・ロウ(同郷。ペット・ショップ・ボーイズ)のポップにまつわるコメント(名言。YouTubeなどでチェックしてください)を引き合いに出して質問すると、リルブーちゃんは一言一句間違えずあのコメントを口にして、それは絶対にあると思う、と言っていた。辺境地が育んだポップへの信頼感が、巨大テノリオンをバックに日本でもこの夏、サマーソニックで輝く。悶え死ぬかもしれない、私。

(妹沢 奈美)