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KASABIAN

 04年のサマーソニックの記憶として、最も激烈なものの一つはカサビアンの登場だったといっても、決して過言ではないと思う。"クラブ・フット"のあのグルーヴに素早く魅せられた日本の音楽ファンたちがあの日は詰めかけ、会場は入場規制。アルバム・リリース前のバンドとしては、特筆すべき出来事だった。
 熱かったし、暑かったなあ。
 07年の二度目の登場は、アークティック・モンキーズに次ぐ二番手としての出演。瞬く間にデカくなったこのバンドのありさまを、その出演順序が象徴していたのは言うまでもない。私はこの年の初日は大阪会場で見たのだが、俺達の世界へようこそ、とばかりにワンマン・ライヴのごとく堂々たる俺様な存在感を放ち続けるトム・ミーガン(Vo)の様子には、最初はもちろん爆笑だ。この人には何というか、憎めぬチャーミングな魅力が満載だ。とはいえ、ライヴが進むにつれて当時リリース直前だったセカンド・アルバム『エンパイア』の楽曲たちの持つ、重厚で複雑で、自分たちも見たことのない世界への扉をここでこじあけるんだという確信のようなものが伝わってくると、思わずこちらも真顔で惹きこまれてしまった。夕暮れ時、少しずつ太陽が陰り、そして海風が遠くから吹いてくるのを感じながらのカサビアンのライヴ--アドレナリンとセロトニンが同時に増幅していくような、素敵な夜だった。
 その『エンパイア』がふたを開ければ全英初登場1位、そして先ごろリリースされたばかりの『ルナティック・アサイラム』も同様に全英1位を獲得、押しも押されぬ国民的バンドにまで成長した4人が、今年もサマーソニックに帰ってくる。カサビアンというバンドほど、デカい場所や責任あるポジションというものが、良性のモチベーションとなるロック・ミュージシャンは珍しく(そういうシンプルなところも、たまらなく好きだ)、ゆえに今の彼らが見せてくれるライヴは、「無敵」という言葉が一番似合うのではないかと思う。「俺達のライヴへようこそ!」というオーラをきっと、トムはまたビンビンに放つんだろうな。そしてわたしはまた心の中で、「いやこれフェスだから、単独じゃないから」と爆笑で突っ込みつつ、いつの間にか惹きこまれていくのだろう。

(妹沢 奈美)