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KLAXONS

 このタイミングでクラクソンズを見れるって、実はとても幸せなことじゃない? ……なんて、ファンならずとも今のクラクソンズの音を期待している人が多いのではないでしょうか。私も、その一人。
 なにしろ彼ら、本当だったら、もうセカンド・アルバムができているはずなんですよね。既にレコーディングは終了し、本人たちも自信満々……のはずが、完成したはずの新作をレーベルの人たちが聴いたところ、作りなおしが決定。それを受けて「ちょっと、実験的すぎたかもしれない」というコメントをメンバーたちがインタビューで答えている記事を読んだのは、この春のことでした。
 ここで、ちょっとだけ深読みしてみましょう。まず、曲はもう充分に出来ている、つまりアイデアは練られている。しかもバンドの視点が、立ち止まるのではなく「実験的」とすら感じられるほど新しい場所へと移っている。プラス、昨年CSSのラヴフォックスちゃんに取材したところ、婚約者のサイモン(G&Vo)について「最近は70年代のプログレに夢中みたい」と話している。そう考えると、私たちが知っているセンチメンタルな旋律とキーボードの強いニュー・レイヴ・サウンドとを掛け合わせたデビュー作でのサウンドから、さらにクリエイティヴィティという面での充実が伺える音ができていることは、間違いないと思うのです。
 なにしろ忘れちゃならないポイントとして、クラクソンズの07年のデビュー作『近未来の神話』はその年のマーキュリー賞を受賞。このニュー・レイヴの立役者であり、商業的にも成功(全英2位)という側面も持つこの作品は、内容の素晴らしさや着眼点の鋭さを的確に評価することで知られるマーキュリー賞を受賞したことで、このバンドの創造力そのものにお墨付きがついた、とも言えるのです。
 ちなみに余談になりますが、この年に他にノミネートされていたのはアークティック・モンキーズのセカンド(デビュー作で前年受賞)やエイミー・ワインハウスのあの大ヒット作、それからディジー・ラスカルやザ・ヴューやバッド・フォー・ラッシェズなどなど、さすがの実力派たちばかり。その中での受賞というのは、これは相当なこと。
 今でも初来日時のあの、演奏力は笑っちゃうものだったのに、それを埋めて余りあるほどに、想像力が遥かかなたに向かって炸裂していたステージを、忘れることはできません。そんな強烈な印象を残してくれる「才能」であるからこそ、この4人の今の姿を、今回のサマーソニックできちんと味わい尽くしたい。そしてどんなに実験的であろうと、気持よく踊れることに変わりなさそうなのもまた、彼らの魅力だと私は思ってます。

(妹沢 奈美)