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MANDO DIAO

 なんだか上から目線のような物言いになってしまうのだけれど、本当にいいバンドになったもんだなあと思う。大好きなバンドだったし、だから応援していたし、期待もしていた。でもぶっちゃけてしまえば、彼らがここまで大きな成長、進化を遂げることなんて、まったくもって想像していなかった。
 日本デビュー初期のマンドゥ・ディアオは、何から何まで、とにかく過剰だった。まずはメンバーのアティテュード。ロックンロールに対する盲信や、ロック・スターへの尋常じゃない憧憬がそうさせたのか、あるいはスウェーデンのボーレンゲという辺境の地出身がゆえの、“天下取ったる!”精神によるものなのか、単純に目立ちたがり屋集団だっただけなのか、そこのところはよくわからないが、インタヴューでは「オレたち最高」「世界制覇するぜ」と臆面もなく言ってのけ、写真撮影になるとサングラスをかけて斜に構えて悦に入るその姿は、ともすると滑稽に見えるくらい傲岸不遜で、同時代のロック・アクトの中で浮きまくっていた。
 そしてサウンド。デビュー・アルバム『ブリング・エム・イン』のリード・トラック「シープドッグ」に象徴される、激情、劣情が渦巻くガレージ/ロックンロールには、最新兵器に棍棒1本で勝負を挑んでいるような、破れかぶれとも言えるエネルギーがほとばし
っていた。それはライヴになるといっそう顕著で、フル・テンションで遮二無二突っ走る激しいパフォーマンスは、のたうち回るという表現がピッタリ。時には、痛々しくさえ感じられることも……。
 もちろん、そんな2000年代のシーンでは珍しい過剰さが、マンドゥ・ディアオの魅力でもあった。が、しかし、バンドはそれだけでは生きていけないことも、また事実なわけで……。
 それがどうだ、前作『ネヴァー・シーン・ライト・オブ・デー』で、フォークやトラッド、民族音楽に根差した優美なアコースティ
ック・サウンドを鳴らし、初期衝動の塊のようなバンド・イメージを自ら覆してみせた彼らは、今年6月にリリースされた最新アルバム『ギヴ・ミー・ファイア!』では、なんとヒップホップとの邂逅である。しかも、思い付きレヴェルではなく、しっかりと新しいスタイルが血肉化されていて、バンドとしての表現領域が格段に広が
った。
 ライヴも同様で、昨年4月の来日公演で彼らは、持ち前の破れかぶれパワーと、前作で確立したメロウ&リリカルな世界観を融合させた、起伏に富むドラマティックなステージを披露。演奏もぐっとタイトに引き締まっていて、ビルド・アップしたバンドの姿を十二分に伝えていたし、気づけばメンバーの佇まいにも、大人の風格のようなものが備わっていた。
 そう、思春期的季節を終え、自らネクスト・ステージの扉を開けたマンドゥ・ディアオが、バンドとしての真価を発揮するのは、まさにこれからなのだ。間違いなく、今こそライヴを観るべきバンドのひとつだろう。

(鈴木 宏和)