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THE ENEMY

 ジ・エナミーは、イギリスはコヴェントリー出身、トム・クラーク(G/Vo)、アンディ・ホプキンス(B)、リアム・ワッツ(Dr)からなる3人組。バンドを始める以前は、トムとアンディはともにテレビを売る仕事(トムは小売店、アンディはデパート関係で働いていたそう)、リアムは会社員をしていたという、典型的なワーキング・クラスの若者で結成されたバンドであり、バンド結成からわずか2ヶ月でレーベル契約を獲得したこと、しかも、かつてエルヴィス・コステロなどが在籍した老舗パンク・レーベル“Stiff”が、20年ぶりに復活して獲得に乗り出したというエピソードでも大きな注目を集めた。そして2007年に、アルバム『ウィル・リヴ・アンド・ダイ・イン・ジーズ・タウンズ』で19歳にしてデビューを果たすと、これがいきなり全英チャートNo.1に輝き、「オアシスとアークティック・モンキーズが好きなヤツは絶対要注意」とメディアも大絶賛。UKロックの超新星として、一気にシーンの最前線へと躍り出るのだ。
 ビートルズから、ザ・ジャムにクラッシュ、ザ・スミス、オアシスまで、歴代の上質なUKロックのDNAを一身に受け継いだような音楽性はもちろんだけれど、何と言ってもジ・エナミーの真骨頂はライヴだろう。僕はSUMMER SONIC 07、同年末の単独来日公演、そして、全英初登場2位と相変わらずの人気の高さを示した2ndアルバム『ミュージック・フォー・ザ・ピープル』を引っさげ、今年5月に行われた来日公演の3回、彼らのライヴを観ることができたのだが、そのどれもにいたく感動してしまった。とりわけ、まだ日本デビューしたばかりだったのにもかかわらず、あの巨大なマリン・ステージのトップ・バッターに抜擢されたサマソニで見せた、気骨にあふれた熱く雄々しいパフォーマンスは圧巻だった。
 そう、ジ・エナミーは、優男が花盛り状態(!?)の現シーンでは珍しく、男気を感じさせるバンドなのだ。個人的には、3人の間に固く結ばれた友情にも強く惹かれている。僕が対面インタヴューをした時もそうだったのだけど、トム自身が常々、ジ・エナミーのことを「3人の大親友が大好きな音楽をやってるバンド」と言っているし、メンバーの関係性が往々にして窺い知れるライヴにおいても、“フロントマンと他のふたり”というような構図に見えることは決してない。3人で同じ分ずつ、お互いを尊敬、尊重し合っているのだ。
 オアシス、カサビアンというUK最強の2バンドとともに回る全英アリーナ・ツアーを経て、SUMMER SONIC 09に乗り込んでくるジ・エナミー。さらなるスケール・アップを遂げたステージに期待したい。いや、間違いなく彼らは、過去最高のパフォーマンスでバンドの底知れぬポテンシャルを示してくれるはずだ。

(鈴木 宏和)