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 もしかしたら若い世代のロック・ファンの中には、このスカ・バンドのことを知らない人も少なくないかもしれないので、心当たりがあるのではないかと思われる例を、ひとつ挙げさせていただきたい。ジ・エナミーのライヴを観たことがあるという人は、たくさんいるだろう。特に、SUMMER SONICなどの夏フェスに足を運ぶようなアクティヴなロック・ファンの中には、数多いはず。そのジ・エナミーのライヴで、バンドが登場する時にバックに流れているのが、ザ・スペシャルズの往年の名曲「トゥー・マッチ・トゥー・ヤング」なのだ。たぶん、スペシャルズと同じくイギリスのコヴェントリーが故郷のエナミーが、偉大なる先輩にリスペクトを込めて曲を使っているのだと思うのだけれど、彼らに限らず、またスカ系バンドに限らず、2000年以降のシーンでスペシャルズを敬愛しているロック・バンドは決して少なくない。活動期間こそ短かったものの、スペシャルズはUKロック・シーンに大きな潮流を生んだ、隠れた(!?)レジェンド的バンドなのだ。
 1977年に、ジェリー・ダマーズを中心にロンドンで結成、翌年にシンガーでバンドのフロントマンとなるテリー・ホールが加入したのを機に、本格的に活動を始めたザ・スペシャルズは、ザ・クラッシュなどの前座に抜擢されたりして人気を評価を集め、1979年にエルヴィス・コステロのプロデュース(!)によるアルバム『スペシャルズ』でデビュー。ダンサブルながらもアグレッシヴでエッジを併せ持ったサウンドが、当時ムーヴメントの真っ直中だったオリジナル・パンクとも共振し、「トゥー・マッチ・トゥー・ヤング」が全英1位になるなど大きな旋風を巻き起こした。その勢いのまま彼らは、早くも1980年に2ndアルバム『モア・スペシャルズ』をリリース。だが、翌1981年に、あっけなく解散してしまう(ジェリー・ダマーズがスペシャルAKAを、テリー・ホールがファン・ボーイ・スリーを結成して活動するも、ともに1983年ごろには事実上の解散)。
 そして! 四半世紀が経った2008年に、テリー・ホールを中心としたオリジナル・メンバーにより、ワイト島フェスティヴァルにてまさかの復活。本国での再結成ツアーなどを経て、ついにこの夏、SUMMER SONIC 09で実に29年ぶりとなる来日を果たすのだ。これまでのところ、ジェリー・ダマーズが参加していないというのが残念と言えば残念だけれど、陽気なパーティ・ミュージックとしてではなく、パンクに通じるレベル・ミュージックとしてのスカの真髄を、ぜひ味わっていただきたいところだ。

(鈴木 宏和)